記事投稿日 : 2020/10/26 ひとり言

塾長のひとり言 親の背中を子どもは見ている

「本当に、すごいと思っているんです」

ある高校3年生との進路の面談をしていると、そんな言葉がポロッと彼女の口から出てきました。

彼女が目指しているお仕事は、学校の先生。そして、それは彼女のお母様のお仕事でもありました。

教育学部のある大学の推薦入試や一般受験について話していたのですが、このとき彼女は「お母さんがすごすぎて、私なんかができるかどうか心配で…」ろ少しナイーブになっていました。

確かに学校の先生は責任のある大変なお仕事です。そして、彼女のお母様もとてもパワフルで素敵な方。彼女が不安になるのもこもっともです。そして、その不安は、進路を決める上で、きっととっても大切にしなくてはならないものです。

友達や学校の先生は言ってくれるそうです。彼女の抜群のコミュニケーション力と天性の明るさと人を想うやさしさをもってすれば、きっとすぐにたくさんの生徒たちに愛される先生になれるんじゃないかと。勉強は頑張る前提でね。

彼女は塾でもよく友達に勉強を教えていました。あるとき、小学生が「先生、これよくわからーん」と言って問題集を持ってきました。私はそういうときよく、難題を解くようなフリをして一緒に考えることをします。今回も「う~ん、なかなか難しいね…」なんて言いながら、さてヒントでも出そうかと思ったとき、ちょうど彼女もいたので、「この問題ね、あのお姉ちゃんが得意だから一緒に教えてもらおうか笑」と彼女のところへ行きました。彼女はびっくりしていましたが、すぐに小学生の子にわかる言葉を選びながら、質問を投げかけたり、絵を書いたり、工夫をしながらそれこそ授業をしてくれました。そして見事にその子から「わかった!そういうことだったのか!」という言葉と満面の笑顔を引き出しました。その子はお礼を言って自分の席に帰っていきました。彼女は笑顔で見送っていました。こういうことって誰にでもできることではありませんよね。

それでも、まだまだ不安がる彼女。いざというときのために、面談でお母様としていたお話を伝えました。

「でも、そのあなたがすごいと思っているお母様が、あなたもきっといい先生になれると思うって言ってたよ」

目が一瞬まん丸くなった後、確かな輝きを持ったのがわかりました。ああ、それだけお母さんの存在って大きいんだなぁと、なんだかこっちまで感動した瞬間でした。

もちろん、僕としてもお母様としても、無理に学校の先生にさせたいわけではありません。ただ、「やってみたいけど私には無理かもしれない」という理由で諦めて欲しくないだけなのです。

面談で、お母様はこんな風なお話をされていました。

「あの子の人生だから、どうするかはあの子が決めればいいと思います。でも、私もこのお仕事に誇りと愛着を持っているから、あの子が選んでくれたら嬉しいとは思います。大変ですけどね、あの子には向いていると思うんですよ」

実際に働いていて、そのお仕事の酸いも甘いも知っているお母様のお言葉ですから、重みがありますよね。

お母様の言葉を伝えてから、彼女の顔が明るくなってきたので、雑談がてら「それで、小・中・高とどこの先生になりたいとかってあるの?」なんて話を振ったら、「当然、小学校」と即答でした。それ、お母様の影響めっちゃ受けてる笑。

もっと突っ込んで「お仕事の内容以外の魅力は?」と訊いたら「安定」と返ってきました。たしかにローンの審査とかでも学校の先生とか看護師さんはすぐ通るっていわれますもんね。これは以前の面談でも言っていたので本音でしょう。

「私も忙しくて、仕事のことそんなに話す機会はないんですけど」とお母様はおっしゃっていました。でも、やっぱり見ているんですね、親のこと。

後日、「お母様がすごい、お母様がすごい!というお話をされてましたよ」と当のお母様に伝えると、「またまた。あの子、外面は良いんですよ」と笑っていらっしゃいましたが、とっても嬉しそうでした。

子どもたちにとって、一番身近にいる大人が、親。

色んな影響は知らず知らずのうちにやっぱり、そしてちゃんと受けながら育っているんだなぁと、実感して僕も嬉しくなったお話でした。

と同時に、自分が親になったときの背中にも気をつけようと心に誓いました。

 

本日も出雲市の個別指導塾 すずかけの木へお越しいただきありがとうございました。良いも悪いもちゃんと見せることが大事なのかも…