記事投稿日 : 2020/11/06 ひとり言

塾長のひとり言 勉強ができないと言う前にやってほしいこと

「先生、これわかんない。できない」

先日、そんな言葉を半ばふてくされ気味に言った中学生がいました。

その生徒が向き合っていた問題は、前回には自力で解けるようになった問題です。ノートにもそのときの説明と図と解法が載っています。宿題でも確認済みでした。

「この問題だけど、どこまで読んでわかんないって思った?」

こう話始めた時点で、生徒も「やっちまった」ってな顔をしていました。つまりは「できない」ではなくて「やっていなかった」だけなんですね。

「やりたくない」フィルターを通せば、どんな問題も「難しい」「できない」「超難問」に姿形を変えてしまいます。

逆に「やってみよう」フィルターを通せば、どんな難問も、レベルアップのための魅力的な材料になります。たとえその問題がそのときにはできなかったとしても、向き合った経験が成長の糧になるものです。

今回の生徒は、「面倒くさい」が理由でできた「やりたくない」フィルターでしたが、実はこのフィルター、色んな理由で一瞬にして創られます。とても厄介なやつです。

僕の経験上、生徒が自信がなかったり、自己効力感が弱かったり、間違えることを嫌がっていたり、気持ちが落ち込んでいたり、疲れていて楽をしたいときなんかにできやすいみたいです。

本当の「できない」は、とっても大事なモノです。それが最大かつ最高の成長チャンスになるからです。何でも「できない」ことが「できる」ようになることを成長と呼びます。

そんな最大かつ最高のチャンスを、貴い「できない」という瞬間を、「やりたくない」フィルターで紛らわしてしまうのはあまりに勿体ないことです。

本来なら、時間も体力も精神力も、偽物の「できない」ではなく、本物の「できない」に注ぎ込みたいですからね。

そんなことをもうちょっとシンプルにその生徒に伝えました。元々頑張り屋さんな子なので、ちょっとだけ涙目になりながらも理解をしてくれた様子です。

今日は、せっかくなので、彼にも伝えたその「やりたくない」フィルターの取り外し方についてお話していきます。

 

「やりたくない」フィルターの外し方

まず「やりたくない」フィルターを創らないために重要なのは「健康」です。何を当たり前のことを!と驚きでしょうが、当たり前こそが大事なのです。

誰でも疲れているときは勉強に身が入りません。特に勉強が苦手な子はそうでしょう。でもね、体調管理って完全な自己責任。他の誰のせいでもなく、自分のせいですから、逆に言えば自分が気をつけることで苦しまずに済みます。

それを解決するには「早寝早起き朝ごはん」だったり「スマホの扱い方」だったり「適切な生活リズム」だったりします。

もしも、今これを読んでいるのが我が子の勉強に悩む保護者の方であれば、まずはその部分だけ気をつけさせてみてくださいね。とにかく夜ちゃんと寝かせましょう。

次に「やりたくない」フィルターを作り出す要因となるのが、「感情」です。人間は感情の生き物。これまた誰でも嫌なことがあったときには、何に対しても手がつかなくなるものです。

「やりたくない」フィルターがこの「感情」が原因でできてしまっている場合は、ソフトなケアが必要です。

保護者様や指導者の立場であれば、「何かあったの?」と話を聞いてあげることで、「感情」を落ち着かせて立ち向かう姿勢をつくることができます。あるいは、檄や喝を飛ばして元気にさせることもあるでしょう。

似たような原因ですが、根深いものとして、「自信不足」「自己効力感不足」もあります。うまくいかないと思っているから手が止まってしまうパターンですね。これは特に「勉強が苦手だ」と自分で言う生徒に多いです。勝負の前から気持ちで負けているということですね。問題に相対したとき、「できない」と決めつけて考えることを放棄してしまうわけです。「読んでるじゃなくて見てる」状態ですね。

この理由から創られる「やりたくない」フィルターを外すのは、長期戦になることが多いです。まずは「やればできる」ということ、「自分だって戦える」ということをわからせなければなりません。

一番簡単なそれをわからせる方法は、成功体験を積ませること。そうすることで「わかる」「お、わかる」「できる」「きっと次もできる」という風に、心がレベルアップしていきます。

さぁ、最後の「やりたくない」フィルターを創る原因として、「間違えることが嫌だから」を挙げておきましょう。

塾でも散々「間違えることは悪いことじゃないんだよ」と伝えているにもかかわらず、まだ「間違えることを極度に嫌がっているな」という生徒もチラホラ見受けられます。そういう生徒は丸付けなんかをさせると間違っている答えを消して答えを記入したりするんですよね。間違えを隠そうとするわけです。

もちろん、適度な「間違いを嫌う気持ち」は必要です。でも、それが理由で手が止まってしまうのなら、そんな気持ちは要りません。

プライドなのか、性格なのか、経験によるものなのか、わかりませんが、こと練習中に関しては「失敗を嫌がる気持ち」は押さえて「正解してやるぜ」という気持ちを強く持つようにしましょう。

本番で失敗しないために、今失敗しておくのです。失敗しない人は何もしない人。何もしなければ、もちろんあなたの成績や学力が上がっていくことはありません。

他にも「やりたくない」フィルターの源は無限大にありそうですが、「勉強ができない」という生徒が創るフィルターの原因は、こういったところが多いのではないでしょうか。

あのね、自分自身に向かって言うのだけれど、本当に「できない」ことってそんなにない。「できない」って勝手に思って、勝手に「やっていない」だけ。

自分を見くびるな!自分の可能性を忘れるな!

素晴らしいあなたの、明日がもっと素晴らしくなるように、「やりたくない」フィルターなんてつまらないフィルターは捨ててしまって、もっとずっとキラキラしたフィルターで世界を見てみよう。

そこには、君にできることが限りなく広がっている。尽きることなんてない。失敗しても大丈夫だし、そばにはきっと味方もいる。

さぁ、やってみよう!

  

おわりに

ちょっといい感じの言葉に浸ってしまいました。冒頭に戻りましょう。

「先生、これわかんない。できない」

そんな言葉が生徒から出てきたとき、僕の中でほんのちょっとワクワクする気持ちが巻き起こります。果たして本当に「できない」のか、それともただ美しくないフィルターを通して見ているだけなのか、ちょっとその生徒と話せばすぐに答えがわかります。

それが本当の「できない」だったとき、この生徒に成長のチャンスが訪れる。そんなワクワクです。

だから、「先生、これわかんない。できない」と言われた僕は、ワクワクしながらあなたの元へ向かうでしょう。

「どれどれ」とか言って、少し笑いながらね。

でも、ほどほどにしてくださいね。

  

本日も出雲市の個別指導塾 すずかけの木へお越しいただきありがとうございました。勉強ができない言う前に、やっていないだけじゃないか?と自問自答してみて、「そんなはずはない!」と自信満々で言えたら、それはとびきりの成長のチャンス!