記事投稿日 : 2021/04/24 ひとり言

世界一簡単な大学受験の始め方

「じゃあ先生、世界一簡単な大学受験の仕方教えてよ」

ある高校1年生の生徒が、謎の「じゃあ」を発動させて質問してきました。

「仕方ない」と意気揚々と語ろうとしたら、「あ、明日課題テストあるからまた今度ね」とあっさりかわされました。そりゃそうですね。

ちょっと残念だなぁという顔をしている僕を見て、「じゃあ先生、何かにまとめといてよ。今度見とくから」と優しいんだか優しくないんだかよく分からないフォローをしてくれたAくん。君のためにこの「ひとり言」コーナーでまとめておくよ。

というわけで、今回のテーマは「大学受験の始め方」です。Aくんに向けてということで、表現などゆるい部分もありますが、ご了承ください。

 

大学受験は「目的地のある散歩」みたいなもの

「目的地があるなら散歩じゃないよね」という突っ込みが聞こえてきそうですが、その突っ込み待ちでした。いわゆる掴みというやつです。ちょっとくらい矛盾があった方が頭に入りやすいのです。

説明しなくてもなんとなく分かってくれそうなものですが、大学受験というのは長丁場です。本気で喩えるなら「旅」や「マラソン」なんかが良いでしょう。

目的地」が「大学」です。「散歩」が「受験までの道のり」を指しています。ちょっと強引ですが、この喩えを使って説明していきます。「大学受験=目的地のある散歩」は、大きく分けて3つのステップがあります。

それが「目的地を見つける」「行き方を考える」「行く」の3つです。ね、シンプルでしょ。

ちなみに、この「お散歩」はいつでも始めることができます。早ければ早いほど得しそうなものですが、一概に早けりゃいいということでもありません。個人によって歩き始めのベストタイミングは変わってきます。ただ「もうちょっと早く歩き始めておけば良かったのにな」という人が多いのも事実です。

せっかくこれを聞いているなら、頭の片隅「お散歩」のことを、どしんと居座らせてください。100メートル走でボルトに勝つには30秒前にスタートしちゃうことです。そして大学受験において、それは別にズルではありません。

それでは、早速3つのステップを見ていきましょう。

 

1、目的地を見つける

歩き出すには、まず目的地を決めなければなりません。

「なんとなくあっちの方とかじゃ駄目なの?」と君は言いそうなので、先に言っておきましょう。もちろんそれでもOKです。大雑把な方角だけ決めて歩き出すのもいいでしょう。ただ、いつかはキチンとした目的地を決めなければなりませんが。

兎にも角にも一番大事なことは、方角であれ場所であれその理由であれ、すべては君が決めることです。これは他の誰でもなく、君の人生なのだからね。

ただ、「そうはいってもどうやって目的地を決めればいいの?」なんて言いたくなるのもよく分かります。世の中には情報が溢れていますからね。ここでは、考え方のヒントだけ渡しておきます。

まず最初に考えるポイントは、「何のために大学に行くか」です。大学以外の選択肢だってもちろん君は持っています。専門学校、短大、就職、海外に行くなどなど…。その中で大学を選ぶ理由とは何でしょう。ここはじっくり考えてみなくてはなりません。

身近な大人や友達、信頼できる人に聞いてみましょう。本やネットで調べてもいいですね。「なんで大学って行くのかな」。答えは色々だと思います。その中で自分がしっくりくるものを選べば良いのです。いくつでも、なんとなくでも。

代表的なものをいくつか挙げておきます。参考までにね。

「勉強したいことがあるから」。こんな理由で大学を選べたら素敵ですね。学ぶというのは本来楽しいことです。

「将来なりたいものがある」「就職のため」という人もいますね。お医者さんや薬剤師さんのようにそもそも大学を出ないとなれな(なりにく)かったり、資格の受験資格が貰えなかったりするお仕事もあります。また日本は新卒の価値も高い国なので、就職率も重要な観点ですよね。

「選択肢を広げるため」という方もいるでしょう。基本的に大学には偏差値というレベルが振られているので、偏差値が高ければ高いほど選択肢が広がるというのはなんだかんだあります。就職するにも有利だったりします。

こういった「なんで大学って行くのかな」の答えが、具体的な目的地つまり大学を決めるときに役に立ちます。

例えば、「CA(キャビンアテンダント)になるために」という生徒は、CAへの就職率が高い「関西外国語大学」や「青山学院大学」を目的地の候補にします。そこからさらに各大学のキャンパスや学費やカリキュラムや先生や就職先について調べたり、実際に足を運んだり(オープンキャンパスなどを利用)して目的地を絞り決めていくのです。

経験上、この目的地が決まる時期は本当に人それぞれです。早いと、小学生で決まっている子もいます。

ただ先述の通り、決まるのが早ければいいというものでもありません。具体的な目的地については途中で変わったっていいし、最後の最後の最後まで悩み抜く子もいます。

どちらにしても大学受験の準備は時間がかかりますから、まずは行きたい方向だけでも考えておきましょう。

君は「向かうのは、前!」なんて言いそうで怖いけど、その心意気は大事。

2、行き方を考える

目的地がなんとなくでも決まったら、行き方を考えましょう。

僕の頭の中のAくんは「ダッシュで行きたい」なんて言ってますが、あんまり急ぎすぎても道に迷うかもしれません。この散歩はマラソンのような長丁場。いきなりダッシュではエネルギーの無駄遣いかも。安心して辿り着きたいなら、計画をしっかり立てないとね。

そこで重要になるのは「現在地」です。

自分がどこにいるかで、目的地までの行き方は変わってきます。

例えば目的地が「出雲大社」のとき、現在地が「雲州平田駅」ならばたでんで一本ですが、現在地が「アメリカ」なら飛行機を使わないといけません。

そしたら時間もかかります。お金もどれくらいかかるのかな。ん、待てよ、長旅になるなら必要なものも増えるな。えーと、何が必要なんだっけ。あれとこれとそれ。もしかしてパスポートも必要か。知識も色々必要になるぞ。・・・行くのやめようかな。あっ、そういえばハワイに「ハワイ出雲大社」があったっけ?よし、そっちにしよう。あれ?目的地変わってしまった。

大学受験においても、こうやって途中で目的地を変える人はいます。そしてそれは一概に悪いこととは言えません。もちろん、君自身が判断を下すならね。でもそれが遅くなればなるほどリスキーなのはわかるよね。

ですから、行き方については早めに考えておきましょう。

今の時代、目的地までの行き方は、ネットや受験本などでいくらでも調べることができます。ただ、全体像が掴みづらく、「結局どうしたらいいかわからない!」と困る生徒が多い印象です。

自分で調べて無理そうであれば、早めに学校や塾で相談をしましょう。

目的地までの地図もなく歩き始めても、もしかしたら明後日の方向に進んでしまうかもしれません。絶対にわからない行き方などありはしません。調べれば必ずわかりますから、面倒くさがらず目的地が決まったと同時に調べてしまいましょう。自分なりの地図を創るのです。

「そうは言ってもどうすれば……」って君はうつむきそうだから、ここでも考えるためのヒントを出しておきます。

「目的地までどうやって行くか?」。現代の大学受験においては、大学の選抜方法も多岐にわたっています。総合型選抜(旧AO入試)や学校推薦型選抜(旧指定校推薦)や一般受験など行き方はたくさんありますから、現在地を踏まえて検討してみましょう。

「必要な持ち物は何?」。大学の選抜試験は、大学ごとで必要な科目や知識が違います。どの科目のどんな内容が受験に必要なのか、目的地に合わせて探ってみましょう。

「いつ持ち物の用意をするか?」。必要な持ち物がわかったら、それをいつまでに準備するのか計画を立てましょう。ここが一番考えるのが難しいポイントかもしれません。

例えば「英語の知識」が必要な持ち物だとしたら、それがどれだけの量や質で必要なのか調べます。偏差値や点数など数字を使って知ることができるとわかりやすいですね。赤本(大学別過去問)や受験本、学校や塾でもらえるデータ等で調べられます。

それがわかったら、それをいつまでに用意するか決めます。○月までには文法を繰り返して、○月までには長文問題を解きまくって、○月までには赤本をマスターして、受験に挑む!みたいな感じです。

「スケジュールは?」。入試日がいつ頃で、模試がいつで、大体いつまでに何をやらなければならないかを考えておきましょう。見える化しておくと楽ですよ。

考えることはいっぱいです。

しかし、この行き方を具体的にしておけばしておくほど、お散歩の足取りは軽やかになります。

目的地までの道のりは基本どこも険しいですが、確かな地図があれば、安心して力強く一歩を踏み出すことができるのです。

そして、もしも自分で調べることが難しいようなら、信頼できる大人に頼りましょう。でもでも、丸投げは駄目ですよ。それに一緒に考えておけば、もしも目的地が変更になったときも、自分で考えられる分焦らなくて済みます。それを定期的にその信頼できる大人にチェックしてもらえば万全ですね。

Aくんの場合、それが僕だと嬉しいです。

 

3、行く

散歩では「行く」。大学受験では「勉強する」ということです。

2の「行き方を考える」がしっかりできていればできているほど、この3が迷いなく楽にできるはずです。ま、歩くこと自体は決して楽ではないのですが、希望に向かう道を一生懸命歩くというのは気持ちのいいものですからね。

道中、様々な困難が君を襲うでしょう。落ち込んだり悩んだり迷ったり苦しんだり、心折れて諦めそうになる日も来るかもしれません。だけど、その道の先にある確かな輝きを放つ目的地は、君をいつだって奮い立たせてくれるはずです。力を、勇気を、足下を照らす光をくれるはずです。

それにね、君は一人で歩いているわけじゃない。時には前から、時には後ろから、そして時には横から、口を出したり応援したり引っ張ったり注意してくれる人が、周りには必ずいるから。

君オリジナルの君だけの君らしい素晴らしい道を歩もう。お散歩を、苦しみながらも楽しもう。色々あるよ。これから、笑顔も涙もズッコケもガッツポーズも。

それらを全部ひっくるめてちゃんと、その道中は君の人生の中でも特別光り輝く、大切な思い出になるから。

さぁ、行こう。

 

エピローグ

そういえば今回のひとり言のタイトルは「世界一簡単な大学受験の始め方」でした。Aくんに向けて話す内容にしては、大層なタイトルでしたね。

ぜひともAくんに面と向かって感想を聞いてみたいものです。「うーん、長い」と言われてしまいそうです。しかも、「でもさ、一番簡単な大学受験の始め方って、とりあえず今やってる勉強を一生懸命やることじゃね」とまで言いそう。

世界一簡単な大学受験の始め方、早くも更新。

 

本日も出雲市の個別指導塾 すずかけの木へお越しいただきありがとうございました。世界一じゃなくても、君の参考になれば幸いです。というか、してください。