記事投稿日 : 2021/07/10 ひとり言

個別指導の授業で気を付けている3つのポイント

先日、以前の塾で働いていたときの講師から、こんな質問を受けました。

「授業中に具体的に気を付けていることって何ですか」

一緒に働いていたときから、生徒一人一人のことを気にかけ、その子に合わせた授業を展開しようと常に考えながら授業してくれていました。

昔話もしつつ、僕が授業で気を付けていることを伝えました。

そこで、今回は以前一緒に働いていた講師たちに向けてのひとり言です。ちょっと偉そうにつらつら書いておりますが、少しでも彼らの参考になれば幸いです。

それでは早速参りましょう。

 

個別指導の授業中に気を付けている3つのポイント

まずはその3つのポイントを先にお伝えしてしまいましょう。

授業中に気を付けている3つのポイント、それは「目的地」「現在地」「行き方」です。ちょっと抽象的でごめんなさいね。

簡単にその3つについて紹介しておきます。

目的地」は、文字通りどこを目指しているかということです。「大きな目的地」と「この授業での目的地」があります。「目標」のようなものです。「目標」にきちんとした「目的」があれば「目的地」となるイメージですね。

現在地」は、今、生徒自身がどこにいるかということです。前もってのデータで把握できることもあれば、授業をしてみてわかることや、その日の体調や感情や出来事で変わってくることもあります。主に、勉強の中身のこと、気持ち面や体調面のこと、の2つを指しています。

行き方」は、「目的地」と「現在地」を踏まえて、時間を見て逆算して考えます。もしも「目的地」が出雲大社で、「現在地」が雲州平田駅であれば、30分くらいで行けますが、「現在地」がアメリカであれば飛行機を使わなければなりません。また、パスポートを持っていなければ申請をしなければなりませんし、お金だって必要です。こんな風に、勉強においても「目的地」と「現在地」を定めると、あれこれ条件や縛りが出てきますので、それをひっくるめて「目的地」までの「行き方」を計画するのです。

それでは、ひとつずつさらに詳しく見ていきましょう。

 

「目的地」

目的地」を決める。

それは、「前へ進む」ための「前」を決めることと同意です。「前」が決まったら、共通で目指せるように、旗を立てて、方向を見失わないようにします。この「旗を立てた場所」を一緒に確認することで、生徒と先生は一緒にそこを目指す信頼できる仲間になります。

ちなみに、旗を立てる場所は、どんなに遠く先の場所でもかまいません。将来なりたいもの、夢、やりたいこと。数本立つ場合だってあるでしょうし、無ければ無理に考える必要もありません。

探しても探してもどうしても見つからないときは、「選択肢を広げる」のような旗を適当なポイントに掲げておくのもオススメです。『進路をイメージする神様からの質問』といった手法も効果的です。

もちろん旗の立つ場所が途中で変わるのも大歓迎です。

生徒自身の人生ですから、どんなに近くにいる大人だとしても、それを勝手に決める権利はありません。ただ、あまりにも不可解な旗の立て方をしていた場合は、きちんと話し合います。でも最終的に決めるのは本人です。

あと、この「旗を立てる場所」の決定は、授業の前に行われていることが望ましいですね。

基本的に毎回の授業は、その旗を目指して行われます。その旗まで距離がある場合は、授業ごとで小さな旗を立てます。ここに関しては、こちらが助言することも大いにあります。

個別指導は相手に合わせることができるのが利点ですが、甘やかしたり負荷をかけなさすぎたりしてしまっては、授業自体の意味がなくなってしまいます。ちょうどいい負荷がかかる場所をこちらでアドバイスしてあげるのが良いでしょう。

「次のテストで100点とりたいんだよな?100点目指すときによく言うのはね、じゃあ練習は130点位を目指してやろうということ。それは例えば利き手ではない方の手で解いたとしても100点満点とれるくらい、余裕を持ってできるようにしておくということだ。だから、今君が見た瞬間に「うわっ」って顔をしたこの問題たちだってクリアにしておかなくちゃならない。テストでこのレベルの問題が出てきたときだって、「ああ、これなら楽勝」ぐらいにしておかなくちゃね。というわけで、本日の授業はこの魔王たちを軒並み倒していきまーす」

もちろん文言は自由だけれど、こんな風にして、授業の頭でまず「目的地」を一緒に見る。

それは授業に欠かせない大切なプロセスだと考えています。決して、生徒を孤独と闇が包む深い森の中で迷わせないようにするために。

 

「現在地」

「目的地」見据えたら、次は「現在地」の把握です。

イメージ、授業の頭の5分くらいを使って、先生は生徒の「現在地」の把握に努めます。

ここでいう「現在地」には大きく分けて2種類あって、「勉強の中身の現在地」と「本人の状態の現在地」と名前を付けています。最初の5分で見極めるのは後者です。

「今この生徒は、これからかける負荷に耐えられるくらいの状況なのか。精神面は?体長面は?疲労は?モヤモヤは?環境は?持ち物や準備は?」。これが「本人の状態の現在地」探しです。

そんなことを塾にやってきた瞬間からチェックしておくわけです。もしそこで何か不安な点が見つかれば、早めの対策の一手がとれます。

例えばの話をします。嫌なことがあった日に、それを無視して勉強を進めてもうまくいかない子もいます。塾に入ってきた瞬間の顔でわかったりしますね。そんなときはまずしっかりと話を聞いて、生徒の中にあるモヤモヤを引っ張り出してあげる必要があります。だいぶ引っ張り出して、生徒が笑顔になれたらもう大丈夫。その後、意外といつもより頑張ってくれたりします。

ですから、授業前の時間はとっても大切。自分が担当する生徒の状況をしっかりと掴んであげて、なるべくなら授業が始まる前には、気持ちも身体も「授業に集中できる姿勢」に整えてあげましょう。

そこに特別なテクニックは要りません。何気ない雑談でも、お互いの心がほぐれてくるはずです。まぁ、そのためには先生の方に余裕がないといけませんので、準備をしっかりとしておくのが大前提ですね。

さて、もう一つの「現在地」、「勉強の中身の現在地」の把握は、塾としてある意味当たり前のことでもあります。

「何がわかっていて、何がわかっていないのか。どこまで知っていて、どこまでできて、どこまで説明できるのか。スピードはどう?ミスしやすいところとその理由は?気持ち面でのフィルターはかかってない?意識は?姿勢は?正しい考えで問題に向かっている?」みたいなことを常にチェックしていくわけですね。

これが不明だと、生徒に適切な負荷が与えられません。

わかりやすく言えば、中3生にいくら九九の練習をさせてもレベルはなかなか上がらないですよね。簡単すぎても、難しすぎてもダメ。ちょうどいい負荷のかかる問題を(時には敢えて難問を)、適切なタイミングで渡してあげる必要があるのです。そのための、「現在地」分析です。

ここが細かくわかればわかるほど、目標達成もしやすくなります。次に出てくる「行き方」わかりやすくなるわけですからね。

「行き方」

さぁ、もうちょっと飽きてきましたか?もうすぐで終わります。頑張って!

最後は「行き方」です。

「目的地」と「現在地」が定まれば、考えやすくなるのが「行き方」です。

行き方」とは、「目的地」と「現在地」を踏まえて考える、「うん、この生徒への説明はここまででいいな」や「この生徒にはここを深く考えさせよう」とか「これいっぱいやらせよう」とか「ここはとばします」とか「ここを今日の山場にしようか」とか「ここをこんな風に伝えよう」のことです。

ここを考えて、実行するのが先生のお仕事です。各自の力量がいちばん問われる部分ですね。

まぁ、各々この部分に関しては日頃から教室長にうるさく言われていると思うので、ここでは一つだけ注意しなければならない点をお伝えします。特に授業に自信がついてきて少し慣れてきた先生方に。

これは僕の実感値ですが、今まで誰一人として、同じ「現在地」から、同じ「目的地」へ、同じ「行き方」で行った生徒はいません。

似ていたり参考にできるケースは多くありますが、同じはないです。講師のみんなだってよくわかるよね。講師だって生徒だって、一人ひとり違うもんね。

だから、無理矢理同じ道を通すような、自分よがりの授業にならないように注意をしましょう。

この世に「これで完璧!誰でもわかる!この教え方最強!」なんて教え方はありません。だからこそ、この世の中の素晴らしい先生たちは、常に日々日々自己研鑽しているわけです。その学びに終わりはありません。だって、自分も相手も一人ひとり違うからね。日々日々新しいものとの出会いの連続です。

その中で、僕らがやっている個別指導は、そこに寄り添いやすい授業形態です。

「目的地」と「現在地」を把握しやすく、個別の「行き方」を見つけやすい授業の形式です。

これを活かさない手はありません。

一人ひとりに適した最良の授業を。「目的地」と「現在地」と「行き方」を常に意識して、その子のためになる授業を。その子だけの道を見つけて、案内をしてあげましょう。

そのために、自分の中に沢山の引き出しを持つことです。

そして、そのとっておきの引き出しから、その子に合った「行き方」をプレゼントしてあげるような感覚で授業をするのがいいんじゃないかなぁと思っています。

長くなってしまいました。あとはぜひ直接聞いてください。

そして、あなた達の中のキラキラした授業への熱い考えも、ぜひ僕に教えてください。

それが僕の中の引き出しに仕舞われて、それがいつかどこかの誰かにめちゃくちゃ合った方法で、その生徒をとびきりHAPPYにするかもしれませんからね。

 

本日も出雲市の個別指導塾 すずかけの木へお越しいただきありがとうございました。あえて偉そうに話してきましたが、僕自身も日々日々勉強中です。