
前回「勉強がわからないという子は、まず心の力をつけることから」で触れた「心の力」。必要そうだということはわかったけど、どうやってつければいい?
今回はそんな疑問にお答えするひとり言です。そして勉強が好きじゃない子、やらないうちに苦手になってしまった子たちにも向けたひとり言です。ちょっと長いひとり言ですが、最後まで聞いてもらえたら幸いです。
あえて、ざっくばらんに進めていくので、気に入らない部分がでてきたらごめんなさい。でも、そのぐらいのラフさで勉強にも向かっていって欲しいという願いを込めて。
というのも、勉強が苦手な子って、勉強に向かう「心の力」が弱い子がほとんどなんです。だから、やらないし、読まないし、写しちゃうし、それなのに以上に間違いを怖がったり、異様に難しく考えすぎたりする。心が弱っているから、何をやってもダメなわけです。
大人でもわかりますよね。嫌なことがあって、ネガティブ全開のときは、きっと何をやってもうまくいきません。まずは、その気持ちを変えてあげないと。
勉強が好きじゃない子にとって、勉強と向き合うということは、もうそれだけで大好きな恋人に別れ話をされるくらい衝撃的に嫌なことなのです。「文法」や「関数」なんかと、恋人からの「別れたい」はほぼ同意です。最初から脳の機能のほとんどは停止中。中身の話なんて頭に入るわけがありません。
衝撃的に嫌なことに対して、無理に肩ひじを高くして身構えたり、気負いすぎるんじゃなくて、まず気楽にやってみるということ。バスケも野球もサッカーも、分厚いルールブック読んでから始める人はほとんどいないですよね。まずやってみる。走って転んで泥だらけになってみる。「別れたい」って言われてもとりあえずごねてみる。
上手さ(巧さ)や綺麗さや勝ち方を学ぶのは、もう少し先のことです。
調子に乗って話しているうちに、前置きが長くなってしまいました。まぁ、気軽に読んで、とりあえずやってみてください、ということです。
たった6つのステップで、どんな勉強が苦手なあなたも、絶対に今より勉強ができるようになります。心の力がつきます。
それでいってみましょう。
「心の力」をつける6つのステップ
1 まずやる
いきなりそれですかって思うかもしれません。でも、これがなくちゃ始まりません。ただ、心の力が弱い子にとって、これが一番の難関です。ですから、コツを1つ教えましょう。
それは「好きなものとつなげる」ということです。
ゲームでも、スポーツでも、電車でも、映画でも何でもいいです。「好き」を「嫌い」とくっつけて中和を狙うのです。
例えば、英語のbe動詞(is / am / are)は「ヒトカゲ / ゼニガメ / フシギダネ」に喩えられますし、数学の計算はスポーツでいえば筋トレです。やらなくてはいけない苦しいことを自分の好きなものと結びつけて、手をつけるハードルを低くしましょう。
案外難しいことを言いましたが、まずはとりあえずやってみる。
問題文を声に出して読んでみる。解いてみる。頭を働かせてみる。どう転んだってそこからです。さぁ、やってみましょう。
それに、やらされる前に、やるのは効果的です。「やりなさい」と言われてやる勉強は、賽の河原の石積みを強要されてやるのと一緒です。言われた人との関係性にもヒビが入りかねません。
自らやってみるとほんのちょっとだけわかると思いますが、勉強は意外と楽なんです。紙とペンと教材があればできるし、座りながらやれるし、やれば褒められるし、間違ってもノーダメージです。そんなゲームがあるでしょうか。ないですよね。じゃあ、なぜ勉強はつまらないのでしょう。
2、成功体験を積む
勉強がつまらない理由の1つは、「できないことに向き合ってばかり」だからです。「できないことをできるようにする」ことが勉強の王道ですから、たしかにそれは大切なことなのですが、それを楽しめるようになるのはもうちょっと先のことです。
心の力が弱いうちはそれがまったく楽しめません。絶望しか見つかりません。できるかできないかのギリギリのバトルが楽しいのであって、2mを超す大男との絶対に勝てない本気の相撲なんて絶対にやりたくありませんよね。それと同じようなことです。
だから、とても大事なことを伝えます。
あなたが問題を解けば、それはもちろん間違いも正解もあるでしょう。そして、この際、間違いは忘れましょう。できたところに目を向けて、まずはやった自分をこれでもかってくらい褒めてあげましょう。
ナイスファイト。よくやった。よく頑張った。
そうして、できるところをどんどん見つけていきましょう。できないところはしばらく無視でOKです。
「お、これもできる」「おお、あれもできる」そんな風にできるところが増えてくると、それを経験値として、心の力のレベルも高まってきます。
また、今まで散々折られてきた心の力の回復にもなります。
レベルは気にせず、必要なら学年を戻って、できるところから探しましょう。そこで経験値の荒稼ぎです。「え、これ簡単すぎない?」ではなく「お、自分にできることはこんなにあるんだ」という目で問題たちを見ましょう。周りの大人たちもそうしてください。
ゲームを始めてすぐの人に(またはものすごく久しぶりの人に)、経験者が「え、まだそんなとこなの?」「え、まだスライムと格闘してるの」「えー、まだ1面のボスを倒せないの」なんて言うのは余計なお世話です。一気につまらなくなってしまいます。
勉強もゲームと同じです。いくらやってても怒られないゲームです。だから、楽しめたら最高ですね。まずは楽しいことから。できることを、いっぱい見つけて調子に乗りましょう。
そこで経験値をそこそこ貯めたなって思ったら、次のステップに進みましょう。
3、間違いを怖がらずちょっと困難なことに挑戦する
心の力が貯まってきたら、敵をちょっと強くします。
敵をちょっと強くすることで、手に入る経験値が一気に増えます。それによりレベルアップが早くできるようになります。
それに、簡単すぎるゲームはそのうちつまらなくなります。
ちょっと困難なことに挑戦するときの注意点を1つ。敵を強くしたら、負けることもあるでしょう。でも、それでショックを受けなくても大丈夫です。
自分で敵を強くしたから、負けたのです。素晴らしいことでしょう。失敗しない人は、何もしない人。あなたはよく闘いました。胸を張りましょう。挑戦したから、「今は」無理だということがわかったのですから。
勉強ではいくら間違えても死にはしません。ダメージも受けません。「今の状態ではこれができない」とわかるだけです。むしろプラスなのです。
この「できない問題」は、そのうちあなたにとって宝物のような存在になるのですが、それはもうちょっと時がたってからのお話。
4、写すために答えを見るんじゃなくて、それを使って成長する
この頃には少し「やること」に慣れてきたはずです。
そしたら、今まで答えを丸写ししていたようなワークなどにも果敢にチャレンジしてみましょう。チャレンジとは、真剣に解き、「解答」を使って丸付けし、間違った問題は解説を読んで解き直すということです。
勉強が好きじゃない子ほど、「解答を見るのは悪いこと」のようなイメージを持っています。できないから、答えを見ることに罪悪感みたいなものがあるのでしょう。
でも実は、それは全然悪いことではありません。少なくとも、今のあなたにとってはね。
ここまでのステップを進んできたあなたなら、自信の中に心の力が蓄えられているはずです。そんなあなたなら「解答」が持つ真の力を発揮できるはずです。それは、自立学習につながる大きな武器になり得ます。
「解答」を武器にする方法は、とっても簡単です。今までただの丸付けの道具や写しの道具だった「解答」を、「できない問題に対抗する際のヒント」として使うということです。
「解答」を見て、やり方を読んで、一度閉じて、自分でできるか確かめる。できなかったらもう一度「解答」を見て、また読んで、閉じて、自分でやって…を繰り返します。
これができるようになれば、一人で勉強が進められるようになります。もう経験値の貯め放題。できない問題は印をつけておいて、誰かに聞きましょう。そうやって自分のわからない問題を「わかる!」「できる!」ようにしていくのです。
ここまで来ることができたら、勉強の頂はもうすぐそこです。
5、結果を出して、褒められる
ついに、このときがやってきました。
あれだけ嫌いだった勉強で、もう見たくもなかった勉強で、嫌いなものより嫌いな勉強で、その結果で、あなたが褒められるときです。
テストの点数。科目の評定。小テストの結果。模試の偏差値。
あなたの頑張りが、数値となって出てきて、それが誰かから承認されたとき、あなたと勉強との絆は、より深まります。
その瞬間さえ手に入れられれば、手に入れた分だけ勉強が嫌いじゃなくなっていきます。人間って単純ですからね。
今まで「嫌いなやつ」だったやつも、「ちょっといいやつ」ぐらいになるかもしれません。
そしたら、昨日よりもだいぶ勉強に向かいやすくなるはずです。もうあなたは、勉強嫌いじゃなくなっているかもしれません。
6、自信を持って、継続する
高みにのぼってきたあなたに、もう余計なアドバイスは要らないでしょう。
ただ、のぼってみたあなたなら気づいているかもしれません。上には上があることに。そこから更に高い山が見えるでしょ。
でも、ここまで来たあなたなら、この先もきっと大丈夫。もっとずっとちゃんと成長していけるはずです。
巷にあふれている勉強法を活用できるようになるのはここからです。ある程度の心の力を備えたあなたに、怖いものはありません。自分に対して適切に負荷を与え、間違いに厳しくなり、ギリギリまで答えを見ずに、できない問題に積極的に立ち向かうようにしてください。
ここまで長々と引っ張ってきて、最後の最後に大事なことをお話しします。
これで最後です。いいですか。
自分の状態によって、勉強の方法というのは変わるのです。
あなたがそれに気付けたら、もう安心。
本日も出雲市の個別指導塾 すずかけの木に起こしいただきありがとうございました。6つのステップの完了報告、お待ちしております。